起業家コラム

起業を成功に導くための自己投資

2024年2月7日

起業を成功に導くため事前に行っておくべき準備は様々あります。市場調査、ビジネスプランの作成、資金の確保、マーケティングなどがその基本となります。 その他にも行っておきたい準備行為は諸々ありますが、その中でも起業を成功に導くために特に重要と思われる自己投資(自分磨き)に焦点を当ててお話をしてまいります。

目指すは有能な経営者

いくら緻密な事業計画を立てていたとしても、いざ実際に事業を運営していくと不測の事態は当たり前に発生するものです。
社会状況の変化、健康問題、自然災害などの予期せぬ出来事は不意に発生し、事業運営にネガティブな影響を及ぼします。あらゆる事態を想定してこれらに備えるのですが、経営者としての能力や資質が試される瞬間が必ず訪れます。

有能な経営者は優れた問題解決能力を有します。起きた現象を正確に把握分析し、的確な状況判断に基づいて適切に事案の処理をします。抜群の瞬発力で、緊急時には凄まじき勢いを持って問題のリカバリーにあたり、優れた先見性を持って事業を発展させることにも長けています。感性のままに行動しているようにも見えますが、経営者としての高い教養と豊富な経験がその裏付けになっているのでしょう。

これに対し、一流と言われる経営者は能力の次元が違います。生まれ持った身体的特徴と同様の生得的な能力と言っていいでしょう。情報を処理する能力で比較するなら、令和世代のCPUと昭和世代のCPUほどの圧徳的な差を感じさせられます。常識を越えたアイディアを生み出し、特異な創造力で無から有を発生させ、革新的な着想を持って既存の価値を何十倍にも発展させたりもします。

莫大な時間の投入と創造力や最適化の方法をトレースすることにより、一般人でも一流経営者の真似事はできそうです。しかし、その才能や技術を模倣するだけの方法は、実際の経営環境の複雑さや激しい時流の変化には対応できず、やがては破綻を見ることになるでしょう。
努力によって有能な経営者に近づくことは可能です。少なくとも下位互換程度のレベルには達することはできるはずです。そのためには自分磨きが欠かせません。自分自身の才能と能力を最大限に拡大させるため、可能な限りの自己投資を行うのです。

運を管理する自己投資

皆さんの周りに、「なぜかいつも幸運に恵まれる人」はいないでしょうか?
運そのものを自由に操ることはできませんが、一定の範囲で管理することは出来ます。その発生の頻度や可能性を高めることは出来るのです。運がいいとされる人は、その意識の有無にかかわらず、その蓋然性を高めるための準備を普段から行っているのです。

「果報は寝て待て」・・・本来の意味を誤解されがちなことわざですね。「努力をしないでも寝ていればいつか幸運がやってくる」ということを説いているわけではありません。この「果報」という言葉はそもそも仏語由来で、「前世の行いにより報いとしてうける現世の結果」ということを意味します。つまり、従前の行いが向後の結果をもたらすということなのです。

私自身も仕事において、幸運をもたらしてくれた知人がいます。
その知人とは起業前に出向いた異業種交流会で知り合いました。
この出会いが新たな出会いを生み、仕事の契約に繋がりました。
これらすべては自分に対して行ってきた投資の結果他なりません。
怠りない準備が出会いをもたらし、契約を勝ち取る幸運をもたらしたのです。
運の巡りにより動き出したことではありますが、その後の動きは自分自身で管理していたのです。

実際に事業運営を始めますと、自己投資に費やせる時間は限られますし、その範囲も限定されてきます。起業前でないと行うことが出来ないこともあるでしょう。しかし、そんな時こそ「いつやるの?」と自身に問うてみてください。

自己投資の方法

1.学び

学ぶといいましてもその手段はいくつもあります。

①本を読む
学びの基本でしょうか。知識を広げてくれることはもちろんです。普段の生活では絶対に出会うことはないであろう未知なる見識に触れることもできます。多様な価値観との出会いは、固執した物事の見方を一旦否定し、あらゆる角度から様々な視点で物事をみる習慣を与えてくれます。また、ビジネスの現場で求められる語彙力の養成にも有効であると言えるでしょう。私の場合は、読書量に比例して情報処理能力が高まり、理解力、展開力が増しているよう気がしています。最近は「聴く読書」という形もありますので、通勤、ジム、家事の場面などでの「ながらインプット」という方法もあります。

②セミナーや交流会への参加
ピンポイントで得たい情報やスキルを手っ取り早く身につける手段として非常に有効です。経験豊かな専門家から直接学べますし、疑問などがあればダイレクトに質問を受け付けてくれるセミナーもあります。商工会議所などが主催するセミナーは参加費が概ね安価に設定(無料もある)されていますので、こういったものに参加してみるのもいいでしょう。各種交流会は経営者として多くを学べる場になります。人脈を広げる機会にもなります。また、事前にどういった方が参加される会なのかを確認してみるといいかもしれません。それなりの参加費が設定されているものは、それ相応の質が担保されているようには感じます。

③オンラインサロンの利用
普段なかなか触れることができない専門知識や最新の情報を、インターネット上で手軽に得られるのがオンラインサロンの特徴です。会員以外は非公開の集まりの中で情報公開などを行いますので、会費を支払い会員になることが原則です。起業に関連するオンラインサロンとしては、堀江貴文氏が開催するHIUが有名ですね。サロンメンバー同士が繋がりを持てるものもあります。同じ目的を持つ方と交流を持つことが出来れば実益が生まれる可能性もあります。会費の多寡はそれぞれですが、その道の専門家からレアな情報を得ることができる機会などそうあるものではないです。

④Youtube
根拠が不明確で誤った情報も少なくないので注意が必要です。貴重な情報をわかりやすく動画を交えながら発信してくれる本物の専門家のチャンネルも数多くありますので、うまく活用できれば手軽なインプットの手段としては大変有効だと思います。

2.健康

「健康は富に勝る」と言われたりしますが、誰しもこれをシリアスな言葉として受け止めるべき時期が必ず訪れます。いくらお金があっても、健康でなければ屈託ない人生を楽しむことができません。健康であれば制限なく経済活動を行えますが、健康を失ってしまえばその活動が制限されることになります。

運動を行う事も有効です。
私自身もスポーツジムで継続的に運動を行い、高血圧症の数値の改善にも繋がっています。
高血圧治療の一つとしての有酸素運動は医学的に実際有効とのことで、筋トレについては、いわゆる「幸せホルモン」の分泌を促し、ストレスや不安を軽減する効果があるという研究結果もあるようです。普段着でスキマ時間に利用できるジムも最近はありますので、時間のない方はそんな施設を利用してみるものいいでしょう。ただし、過度に負荷をかけることや不適切なトレニーングはNGです。多少費用を掛けてでも、当初は専門家の適切な指導を仰ぐことを強くオススメします。ジムに入会すること以外、食生活に気を配ることなど、健康づくりの手段はその他にもいろいろあります。自分に合った方法を探して、とにかく継続してみましょう。

3.質の高い趣味

高尚な趣味という言葉があります。知的、文化的に程度の高い趣味であることを意味し、創造力を養い、自身の成長を加速させると言われます。
身の丈を超えた贅沢をすること、文化施設を訪ねその世界観に浸ることなど、自分には分不相応で柄にもないことだと思うかもしれませんが、そんな背伸びは自分に磨きをかけてくれます。身の回りの品についても、高価であっても本当に良質と思えるモノを選んでみるのもいいかもしれません。上質を愉しめることはもちろん、心を豊かにし、感性を刺激してくれます。
良質な環境は、豊かな発想を生み、創造力を育みます。ワーケーションという働き方のスタイルをご存じでしょうか?休暇を楽しみつつ仕事を行うという働き方ですね。
キャンプをしながら仕事をするといった働き方をしている方もおられます。

周りを自然に囲まれた開放的なキャンプ場などの施設は、クリエイティブな作業を行うのに抜群に良好な環境であるということです。普段は思いつかないようなアイディアがびっくりするほど豊富にわいてくるのです。ある種の潜在能力のリミットが解放されるというか、何かそんな不思議な感覚で、普段は決して思いつかないような発想が生まれてくるのです。これは皆さんも機会があれば是非試してみてください。

投資と聞けば、普通は株や投資信託などの金融にまつわるものを思い浮かべると思います。その他にも、不動産投資や事業に投資という形もありますが、
リスクを小にして確実に大きなリターンを得たいのであれば、その方法は「自己投資」の一択になると個人的には考えます。

運用実績が比較的優秀と言われるインデックス投資をそれなりの期間行っている方の事例です。
その利回りは今のところ15%を超えています。放置しておけば勝手にお金が働いてくれるので非常に楽ではありますが、その結果を自分でコントロールすることはできません。将来的にはマイナスリターンになる可能性もあります。
自己投資により得られたと思われる経済的なリターンは、この方の場合インデックス投資のそれを遙かに上回っています。そのために投入した時間や労力をコストとして考えたとしてもです。優れているところは、金融投資などとは違い、その結果をある程度自分でコントロールできるところにあります。方法さえ間違えなければリスクなどないと言っても過言ではないでしょう。少なくともマイナスになることはありません。

まとめ

起業を成功に導くための自己投資の重要性が少なからずお分かりいただけたと思います。
最後に重要な注意点をひとつ。いくらインプットを怠りなく行ったとしても、これにアウトプットが伴わなければ全く意味がありません。
インプットとアウトプットは相互に依存する関係にあります。ここに注意しつつ日々研鑽に取り組んでみてください。さらに自分の可能性が広がることは間違いありません。

この記事を書いた人

たみお
行政書士・社会保険労務士。士業事務所を営む傍ら人事労務コンサルタント会社を運営。人材マネジメントを得意とする。

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